いつまでもアメリカン。http://foreveramerican.blog89.fc2.com/ --- 桎梏(R18) --- -- 1 -- 冷たい人間だ、と言われることがある。 あまり感情を外に出さないからなのか。 気の許せる仲間も、数は多くない。 それは、自分の中に抱えるものがあまりにも醜悪で 如何に悟られないかを日々思案している結果なのかも知れない。 折角、全てを曝け出せる存在を得たと思っていたのに 身体に触れて貰うことも、言葉を囁いて貰うことも、もう出来ないんだろうか。 「永岡さん、外線1番にコンサルティングサービスの楠木さんからお電話です」 「ありがとう」 苗字を聞くだけで、指が微かに震える。 動揺を振り払うように、息を吐いて受話器を取った。 「替わりました。永岡です」 「お世話になります。CSの楠木です。今度の現地調査の件なんですが……」 彼と出会ったのは、とあるクルージングスペース。 虐げ、虐げられる関係になってから、もうどのくらい経つだろう。 身も心も絡め取られていく幸せを感じていたところに生じた、関係の捻れ。 子会社の社員として顔を合わせた彼は、明らかに動揺していて 見ている俺でさえも居た堪れなくなったのを、今でも覚えている。 もちろん、同じように衝撃を受けた俺は、表に出さないよう、必死に耐えていた。 その出来事が彼をどう変えたのか、以降の態度で明白だった。 縋るように掛け続けた電話にも、祈るように書き続けたメールにも応じてくれない。 彼は、俺との関係を終わらせようとしている。 そう思って、一人、打ちひしがれる日々が続いていた。 社用の電話にさえ出ることが怖くなってきたのは、それから2週間ほど経ってからだろうか。 仕事が進展していくにつれ、急速に過去が遠ざかっていくようで、不安になる。 心の拠り所だったはずの受話器の向こうから聞こえてくる声さえも、冷たく響いた。 それなのに、身体は未だ彼の声に依存しているようで 電話が終わった後に残る悲観的な焦燥感が、鼓動を僅かに早めていく。 お世話になります。 ―― 何て言えば良いか、分かってるだろ? 25階のACMRについては対象外と言うことで宜しいですか。 ―― もっと、やらしい顔、見せろよ。 12階と13階の更改工事の図面から、一部、機器が抜けているようなんですが。 ―― こんなにヒクヒクさせて……どうして欲しいんだ? いえ、こちらこそ、宜しくお願いします。 ―― 我慢しろって言っても、無駄だろうけどな。 耳に残る薄情な言葉と、彼から与えられた言葉を混ぜ合わせる。 自らの身体を慰める行為は、あれから激しさを増す一方だった。 1時間も、2時間も、ひたすらに虐げる。 痛みが快感に変わらなくなっても、何かの刺激を感じていなければ、心が壊れそうだった。 クローゼットに押し込んである、小さな旅行鞄。 中に入っている様々ないかがわしい道具を見るだけで、身体が疼いた。 彼から貰った首輪を、ネクタイを外したワイシャツの下に、きつめに着ける。 自然と息が荒くなり、胸元の辺りから熱が広がっていく。 ベッドに背もたれるよう床に座り、上半身と下半身をそれぞれに弄る。 正面にある鏡には、乱れた服装の自分が映っていた。 「お願い、します」 背を向けた彼の幻に向かうよう、そう呟いた。 スラックスから引き出したシャツの中に、手を差し込む。 掌の熱が胸の辺りの熱と混ざり合っていく。 興奮を表すかのように勃起した乳首に指を当て、静かに撫でる。 右手で服の上から包むように弄っていたモノが、その刺激に呼応するように僅かに震えた。 力を入れて摘み上げると、堪らない刺激が背筋を駆け、身体を仰け反らせる。 奥底に潜む被虐欲求が、一気に顔を出して来るようだった。 ワイシャツのボタンを外し、中のTシャツをたくし上げる。 大きめの錘が下がるクリップで、淫らな突起を苛める。 重力に引き摺られるよう、上半身が軽く前傾した。 首輪による息苦しさと痛みとが相まみえることで、脳内で快楽が生まれていく。 下半身の昂揚も、スラックスから顔を出したモノの状態で明らかだった。 液体に塗れた先端を、親指で潰すように愛撫する。 「……っう」 深い息とともに漏れる声。 ずれた眼鏡で視界が歪んでも、眼前に映る自らの痴態からは逃れられない。 「もっと、見て。もっと、虐めて……下さい」 滑りを纏うモノをゆっくりと扱きながら、懇願を口にする。 この手が、彼のものだったら。 遣り切れない想いが、身体を徐々に絶頂へと導いていく。 -- 2 -- シリコン製の細い棒を口に含む。 唾液を絡みつけるように、音を立てながらしゃぶりついた。 滑らかで、何の味も臭いも無い。 彼のモノと重ね合わせるには、あまりにも違いすぎた。 片足をスラックスから引き抜き、開脚して下半身を露わにさせる。 挿入している部分が良く見えるようにと剃毛された部分には、短い毛が生え始めていて チクチクとした感触が、指を軽く痛めつけた。 咥えていた玩具を、自らのモノに擦り付け、尻の方へと下ろしていく。 指で押し広げるように、肛門の辺りを押さえる。 淫乱だと男たちに揶揄されてきた穴は、潤滑油無しでも、異物を易々と受け入れた。 狭い道を押し広げるように入り込んで来る息苦しさが、堪らない。 腰を上げるように、上半身を少し寝かせる。 捻りながら、中を掻き混ぜていく。 おぼつかない手で再びモノを扱き出した。 「やす、ひろ……さん。俺を……」 名刺でしか知り得なかった、初めて口にする名前。 「このままに、しない、で」 背筋が痛くなるほどの快感に溺れる姿は、視界が霞んで、よく見えなくなっていった。 彼と物件を担当して1か月も経った頃、現場の調査で顔を合わせる機会に恵まれた。 ぎこちない空気に耐えながら、ビル内の設備機器を見て回る。 あるフロアの空きテナントを調査中、図面の隅にある小部屋に目が行った。 事務エリア用の空調機が収められている機械室。 今回の調査の対象にはなっていなかったけれど、念の為、鍵は開けて貰っていた。 「現況図とは、随分違いますね」 天井内の機器を見ていた彼が、脚立を降り、振り向きざまにそう声を掛けてくる。 西日を浴びて困ったように笑う姿に、思わず声が出なかった。 「ま、まぁ、良くあることとは言え……困ったもんです」 分からないのか、これが、最後のチャンスだって。 頭の中の叫びが、背中を押す。 「……そうだ、エアハンも見て行きます?」 「機械室、開いてるんですか?」 「ええ、鍵を開けておくように、言ってあるので」 OAフロアに映る俺の影に、脚立を担いだ彼の影が俄かに重なる。 ここで彼に拒絶されたら、俺は、どうなるんだろう。 不安が、歩みを少しだけ遅くさせた。 防音ドアを開け、彼を先に中へ促す。 「随分綺麗ですね。まだ新しいからかな」 「確か、一昨年くらいに入れ替えたんだったと思いますよ」 機器やダクト、配管を一通り見て回る彼を見ながら、脇にあるドアを閉める。 その音に気が付いたらしい彼は、怪訝な表情で俺を見た。 「……どうしました?」 こんなにも緊張で胸がはち切れそうになったことは、あっただろうか。 近づく俺を前に、後ずさる彼の背後には躯体壁。 逃げ道は無い。 「な、永岡さん?」 その呼び掛けが、心の堰を崩す。 そんな風に、呼ばないで欲しい。 もう一度、名前を呼んで欲しい。 震える手を彼の頬に伸ばし、そのまま唇を重ねた。 身体に腕を回し、抱き締める。 薄く開いた唇の間から舌を差し入れると、戸惑いながら彼の舌が絡んで来た。 待ち侘びていた、感触。 動きが滑らかになる頃、名残惜しさを我慢して顔を離し、彼を見た。 「お願いです……俺から、目を……逸らさないで」 眼前の顔が、微かに滲む。 見つめ合う眼が細くなり、腰の辺りに添えられていただけの彼の手が、背中に回る。 苦しいくらいにきつく抱えられた身体が、熱くなるのを感じた。 「ごめん……オレ」 彼の声が、耳に響く。 言い訳なんて、いらなかった。 「もう、抑えられない……」 「……え?」 「俺のこと、壊れるくらい、愛して……下さい」 絡めた指が、離せない。 見つめあったままで、どのくらいの時間が経ったんだろう。 「何時まで、だっけ?ここ」 「一応、5時半までには……事務所に戻らないと」 俺の答えを聞いた彼は、ふと自らの時計を見やる。 誘われるまま視線を落とした瞬間、身体が壁に押し付けられた。 耳元に迫る口から、小さく息を吐く音が聞こえる。 「……どうすんだよ。スイッチ、入っちまいそう」 低く響く声が身体中を痺れされる。 空間を圧迫するように置かれている空調機が、否が応にも彼の肩越しに目に入ってきて 今すぐにでも、そんな欲望とせめぎ合う。 彼の唇が首筋を撫でる。 耳の後ろに息がかかり、敏感な場所がくすぐられる。 舌がもたらす温かく湿った感触が上半身を強張らせた。 衝動の蓋を開けようとする身体を這う手を、無意識の内に制してしまう。 我に返ったかのような彼の溜め息が、肩口を滑って行った。 -- 3 -- 衝動のまま身体を傷つけられることに、抵抗は無い。 彼と出会う前までは、行きずりの男たちに蹂躙されることが、ストレスの捌け口にもなっていた。 ただ、それはあくまで身体の欲求を満たすだけの行為。 心までも満たす必要は無いと、思っていた。 互いのことは殆ど知らない関係。 そんな男がもたらした恋愛感情は、頑なになっていた俺を大きく変えた。 明確な意思表示は、彼からも無かったし、俺からもしなかったけれど 何処かで繋がっている安心感は、確かに持っていたと思う。 彼から与えられる刺激の全てが、俺の身体と心を虜にしていく。 それが堪らなく、幸せだった。 調査を一通り終え、書類をまとめる段取りを付け終ったのは、夜の7時過ぎ。 「ちょっと、寄って行きたいところがあるんですけど、付き合って貰えます?」 帰り際、彼が言った一言が様々な憶測を呼び、隣を歩く彼の息遣いを感じるだけでも、身体が疼く。 ある駅で電車を降りた時から、彼の意図は把握できた。 駅の目の前には、大きな海浜公園が広がる。 足を踏み入れたことはなかったが、夜の姿は伝え聞いていた。 潮風に煽られる彼のスーツの上着を見やりながら、袖口に手を伸ばす。 彼は振り向くことなく、俺の手を取り、軽く引き寄せる。 闇に浮かぶ木々の薄気味悪い姿が、その感触をより確かなものにしてくれるようだった。 道から入った林の中。 木を背にして立ち止まった彼は、背後から抱きしめるように俺の身体を引き寄せた。 言葉も無いまま、彼の手がスーツの上を滑って行く。 左手が上着の中に入ってくると同時に、右手が太腿から上へ上がってくる。 心音が耳の奥を支配するほどの興奮が、静かに身体を蝕んでいくのが分かる。 耳に寄せられる唇の気配に呼ばれるよう振り向き、口づけを求めた。 軽く唇を触れ合わせただけのキスをしてくれた彼は、低い声で囁く。 「何考えて、こんなにしてるんだ?」 股間の辺りを弄る手には、俺の昂ぶりが明白に感じられていただろう。 「やらしい妄想しまくって、硬くしてんだろ?言ってみろよ」 ネクタイが解かれ、喉元の窮屈さが軽くなっていく。 ワイシャツのボタンを外すぎこちない手の動きが、唇を震わせた。 「……貴方に、虐めて貰うことを、想像して……興奮してました」 「どんな風に?」 「縛られたり、咥えさせられたり……罵られたり」 僅かに歪む彼の口が、満足げな表情を演出する。 求めていた姿が、目の前にあった。 Tシャツの上から感じる指の感触が、焦燥感を募らせる。 痛む程の刺激を欲している部分を、彼は優しく撫でるだけに留めている。 欲求を口にすることも出来ず悶える身体は、酷く熱を帯びているようで 暑い季節でも無いのに、首筋を汗が流れて行った。 スラックスのファスナーが下され、服の中から昂ぶったモノが顔を出す。 「見えるだろ?」 先端を撫でる彼の親指に、だらしなく流れる汁が纏わり付き、糸を引く。 微かな水音が、恥ずかしさと快感を身体に与えてくる。 「想像だけでベトベトにしやがって……変態が」 摘み上げられる亀頭が、照りを帯びながら潰れていく。 「う……っあ」 「ほら、こっち向けよ」 快感で滲む視界。 半開きの唇に、彼の舌が這う。 背中から伝わる鼓動、尻の辺りに感じられる昂揚。 俺だけじゃない、そのことが、嬉しかった。 「どうして、欲しいって?」 「……しゃぶらせて、下さい」 首筋から抜かれたネクタイが、頭上で手の自由を奪う。 木を背にしてしゃがみこまされた身体が、腕を引っ張られることで上向かされる。 股間で荒ぶる器官は鎮まることも無く、潮風に曝されていた。 目の前に、彼のモノが差し出される。 一瞬、彼の顔に視線を投げ、幾分硬さを帯びた部分に舌を伸ばす。 彼の味、彼の臭い。 脳に沁みる感覚が、衝動をエスカレートさせる。 根元から先端に向かって舐め上げる度に、うなだれながら奉仕を受け入れる彼の表情が目に入った。 高圧的な眼差しと、快楽に震える唇。 拘束されたままで掴まれた手に、彼の指が絡む。 やがて、眼鏡が外されると共に、口の中が彼のモノで満たされる。 僅かに空いた口端から息を吸い込み、頭を動かし始めた。 腰が顔に打ち付けられる音が、徐々に激しさを増す。 気道が圧迫されて漏れ出す呻き声が、木々の間を抜けていく。 薄くなる意識が、頭上から降ってくる荒い息遣いに呼び止められる。 「これ、が、良いんだろ?」 霞む彼の表情は、よく見えなかった。 すぼめていた口を少し開き、唸るような声で問いに答える。 更なる快楽を求める彼の腰の動きが早くなった。 口の中を満たしていた唾液が首筋へと流れ落ちる。 不快感すら、快感に取って代わる彼からの加虐。 彼が絶頂を迎える頃、俺の身体は、この現実にすっかり酔いしれていた。 -- 4 -- 目の前にしゃがみ込んだ彼の舌が、俺の唇から首に向かって流れていく。 刺激を待ちきれずに細かな上下を繰り返すモノが、不意に指で弾かれる。 「ん……っ」 「このまま、帰るか?」 意地悪な声が、耳に響く。 縋るように、彼を見た。 「何だ?」 「イきたい……です」 鋭い笑みを浮かべながら、彼の手が俺のモノを扱き出す。 それは一気に高みへと引っ張り上げるような勢いで 口を閉じる余裕も無いほど強張った身体の中で、腰だけが自然と浮いていく。 ふと、その手の動きが止まる。 声にならない訴えは、彼の気持ちをより興奮させたのだろう。 「焦らされるの、大好きだよな?」 彼の手はモノから離れ、スラックスからワイシャツを引出し、服の中へと入っていく。 宙に浮いた衝動のやり場となった部分を、2本の指が静かに弄る。 吐息が、眼前の彼の前髪を揺らした。 「そ……こ」 「相変わらず、やらしいな。こんなにおっ勃てて」 「も、っと……」 じれったい刺激に捩る身体を、彼は愉快そうに眺めている。 「もっと?」 「強く、摘んで、下さい」 鼻で笑う声に、被虐心が膨らむ。 強烈な痛みが背中まで突き抜けた。 「どうなんだ?」 乾いた喘ぎが、喉を揺らす。 「きも、ち、いい……です」 頬を撫でる風さえも、奪えないほどの熱。 絶頂の寸前まで追いやられながら、手を引っ張られる行為が、何回繰り返されたのか。 「も……イ、かせて……もう」 うわ言のように口から言葉が出ていく。 閉じられない唇に触れる彼の唇の感触だけでも、身体が震える。 モノに軽く添えられただけの彼の手に擦り付けるよう、無意識の内に腰が動いた。 「そんなんで、イけるのか?」 無駄な足掻きであることは分かっていたけれど、何でもいいから、きっかけが欲しかった。 おかしくなっていく身体を、解放する為のきっかけが。 彼の腕が俺の頭を抱えるように回り、片方の手も再び動き始める。 「……う……はぁ」 力の入らない足が、徐々に崩れ落ちていく。 耳元で感じる、小さな溜め息。 「雅哉」 快感で混乱する頭の中に、甘い囁きが響いた。 「……愛してる」 感情が、身体中を突き抜ける。 信じられないほどの、昂ぶり。 「ん……ああっ」 絶頂と同時に喉奥から吐き出された声が、闇に溶けていった。 久しぶりの満足感に囚われた身体は、しばらく動かなかった。 乱れた服装のまま、何度となく口づけを交わす。 「楠木、さん」 「苗字なんだ」 両手で頬を包み、真っ直ぐに視線を向けてくる彼は、何処となく照れたような笑みを浮かべた。 「……靖弘さん」 「何?」 「本当に……ありがとう、ございました」 真夜中の公園の中を歩きながら、彼は自身が持つ葛藤や苦悩を話してくれた。 過去に受けた行為から残る、性的なトラウマ。 偽名を使っての付き合い。 逃れられない上下関係によって、卑屈になって行った自尊心。 感情を表に出さなかった俺の態度も、それに拍車をかけた。 「オレが上であるべきだ、って言う強迫観念が、あったのかな」 街灯を背にした彼の顔は、切なげだった。 「弱いところを見せたら、君が去って行くんじゃないかと思って、怖かった」 「そんな訳……ありません」 隣に立つ彼の手を取る。 静かに絡んだ指は、やがて固く握り締められた。 「俺は、身も心も……貴方に拘束されてますから」 手を自分の口元に引き寄せ、そっと唇をつける。 「この指じゃないと、ダメなんです」 風が止んだ一瞬、息を飲む音が聞こえた。 「枷をかけられてるのは、オレの方かも……知れないな」 身体が強く抱き締められる。 息苦しさと、軋むような痛みが、幸せを実感させてくれた。 殆ど水と化した湯を浴びても、火照った身体は冷めては行かない。 激しい鼓動と共に全身へ回る熱を抱えながら、ユニットバスを出る。 いかがわしい内装の部屋に置かれた革張りのソファに座った彼は、俺に笑みを向け立ち上がった。 手にした革の首輪を少し緩めに着け、その指が顎を撫でる。 求めるように突き出した唇に、彼の唇が重なった。 軽く触れ合わせ、濃厚に舌を絡ませる。 息苦しさで僅かに潤んだ彼の眼が、不意に狂気を見せる。 焦がれていた視線が、言葉を押し出した。 「……お願い、します」 Copyright 2011 まべちがわ All Rights Reserved.